自分も、他者も、深く理解する
コミュニケーション力
社会において求められるのは、スキルや知識だけではありません。
自修館では、高い達成意欲を持ち、相手の立場で物事を考え判断することで多くの人を巻き込み、
大きな成果を成し遂げられる”人間的魅力”を支える「EQ」の高い生徒を育成します。
EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは?
「心の知能」や「感情知性」と言われる、心に関する”識別管理能力”のことです。具体的には以下の 4 つの要素で構成されます。
なぜEQを高めるのか?
近年、アスリートにメンタルトレーナーがつくことは珍しくなくなりました。自分の感情と上手に向き合い、仕事や勉強、部活、行事など、さまざまな場面で適切な感情状態を作り出すことによりパフォーマンス(行動)を最大化できることは、アスリートに限らず全ての人にとって大変有益です。
EQの育成に必要なのは、社会の一員としての自分の在り方を捉え(自己理解)、他者の感情に寄り添う姿勢(他者理解)です。これらを深めるためには、自分自身を客観視する必要があります。
感情のまま言葉を発したり行動するのではなく、自分自身に対して客観的な視点を持つことで行動や発言を省みることができるようになります。周囲との良好なコミュニケーションが築かれていき、自己肯定感の高まりへとつながっていきます。これらの好循環により、自修館での教育活動の効果を高め、さらに実社会で生きる力も育まれていきます。
どうやってEQを高めるのか?
遺伝的基盤によって決定づけられると言われる IQ と異なり、EQ はトレーニングにより開発が可能です。
自修館における EQ 教育はすべての教育活動を通じて行われますが、とりわけその中心的な役割を担うのは SS(セルフサイエンス)という授業です。
社会における自らを客観的に捉え、社会の一員としての最適な自己姿勢を見つめるため、心理学的また統計学的な根拠を基にした EQ 教育を実践していきます。
EQを開発するためのプログラム
SS授業 - セルフサイエンス
EQそのものの理解を深めるだけでなく、学期に1回実施されるEQ診断の結果をもとに、
こころの特徴の分析を進めながら発達段階に応じた指導を実践します。
EQ診断では、さまざまな状況を想定した場面において選択した「行動」から、どのようなEQを発揮しているかを推測する行動特性検査を行います。
その結果に基づき、アンカー教員のもと各担任が週 1 回の授業を実施。一人ひとりに応じたトレーニングを生徒とともに考え実践するだけでなく、ロールプレイなどのさまざまな活動を通して、自分と他者の認知の違いやそれに伴う感情、行動の違いを再確認することで最適化を図ります。
SS授業の実践例
EQ診断プロファイリング
(フィードバック)
EQ診断の結果を分析し、
自分自身のEQ開発に取り組みます。
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授業の流れ
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STEP 01
「現在のストレス状況」を知る ~こころの状態~
こころの「元気度」を確認します。
環境の変化や体調不良、周囲との人間関係など、上がり下がりの原因を明確にし、対策を考えます。 -
STEP 02
「自分らしさを」知る ~性格・特性~
学校生活だけでなく、日常生活における自分とも向き合い、性格や特性について確認します。
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STEP 03
「現在のEQ発揮状態」を知る ~EQ能力~
自己自覚能力、他者察知力、感情語彙力、感情抑制力、感情総出力、それぞれについて自分がどのようにEQを発揮しているかを確認していきます。
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STEP 04
「現在のEQ発揮状態」を高める ~EQ能力~
必要な時に必要なEQを使えるように準備をすることが大切です。
開発指標、具体的な行動計画、2か月後になりたい自分などの計画を立て、その結果を共有しながら”応援してくれる人”を決めます。 -
STEP 05
EQ開発期間 ~2か月やってみよう~
EQ開発シートにデイリートレーニングの結果を記録していきます。週の振り返りや応援者からのコメントも記入し、自分自身でPDCAサイクルを回してEQ開発を行っていきます。
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アサーショントレーニング
バーバル(言語的)/ノンバーバル(非言語的)コミュニケーションの理解を深め、自分の気持ちを適切に伝える方法を学びます。
※アサーション…自分の主張をしっかりしながらも、相手を傷つけないコミュニケーション方法のこと。
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授業の流れ(バーバルコミュニケーションについて)
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STEP 01
現状の確認
シチュエーションに応じて、自分が発する言葉をワークシートに記入します。(例:清掃の時間、教室内のモップをかけているときに、どいてくれない友人に対して何と言うか)
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STEP 02
アサーションについての理解
言葉の選び方によっては攻撃的になったり、嫌みになったりすることを理解しながら、アサーションが「非威圧的」かつ「直接的表現」であることをマトリックスを用いて理解します。
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STEP 03
アサーティブな言葉遣いを知る
アサーティブになりやすいと言われるI(アイ)メッセージ※による発信や肯定的表現の方法、具体的な表現の方法、また依頼や断りの基本パターン、DESC 法※※について理解します。
※「○○してほしい!」と相手の行動を制限するのではなく、「私」を主語にして自分の感情を相手に伝え、判断は相手に任せるコミュニケーション方法のこと。
※※DESC 法 …「Describe:描写する」「Explain:説明する」「Specify:提案する」
「Choose:選択する」のことで、アサーティブな表現になりやすいコミュニケーション方法のこと。 -
STEP 04
実践
自分の感情を気持ちよく発信しながら、相手も気持ちよく受け入れられるように、ワークシートに最初に記入した自分の発する言葉を修正します。
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生徒の声
自修館には、生徒が企画・運営を行う機会がたくさんあります。
SS授業で学んだコミュニケーション力を存分に活かし、クラスメイトや先輩・後輩と協力しながら
“全ての人が楽しむための工夫”を夢中になって探究します。
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生徒のために、生徒とともに。
自修館の生徒会は、入学式や卒業式をはじめとした各種行事の企画・運営はもちろん、制服リニューアルプロジェクトやルールメイキングといった「学校づくり」にも多く携わっています。学校の代表として全校生徒の意見をどのような形で反映するか、どうすればより多くの人に興味を持ってもらえるかなどを考えるなかで、仲間と協働しながら試行錯誤を繰り返し、課題解決に立ち向かう力が身につきました。また、全校生徒の前で話したり先生たちにさまざまな提案をするといった”生徒会長だからこそ経験できる機会”を通して先生や友だちからのアドバイスをもらうことができることも、自分の可能性を広げる大きな自信につながっていると感じています。
生徒会長 5年生 井上 健さん
人間は、日々さまざまな感情を抱き、それに伴ってさまざまな行動をとります。しかしながら、「イライラ」という感情が生じたときに、怒鳴る人もいれば、冷静に対処する人もいるように、似たような感情を抱きながらも、すべての人が同じ行動をとるわけではありません。
EQ は「人の行動を決定づける、感情と行動の間にあるフィルター」のような役割を担っているので、EQを高めることで結果的に「自分の行動が変化していく」ということになります。